「お母さん! 私1人でできたよ!」自立支援(買い物)の一事例
自立とは、一人でなんでもかんでもできるようになるだけでなく、できない事、困っている事を自覚し、助けて貰う事も重要です。
中等部の脳性麻痺のA子ちゃんの事例です。
A子ちゃんのお母さんと初回面談した際、「A子ちゃんは買い物できますか?」と質問すると「実は、毎週本屋に行って本を買うのが楽しみだったんですが、3ヵ月前から行けなくなりました。」と。
なぜ行けなくなったのか尋ねると「手先が不器用なのでお釣りを床にばら撒いてしまったんです。その時に後ろに並んでいた中年男性から『お前みたいな障がい者が買い物するな!』と、怒鳴られてしまったんです。それから行けなくなったんです。お金を掴むことは難しいので毎回、床にばら撒くので・・・」と。
小学部の頃から本屋で買い物ができていたAちゃんが、この出来事がきっかけで買い物ができなくなった。できる事が一つ減った悲しさが凄く込み上げてきた出来事でした。
私はお母さんにお話させて頂きました。「凄く辛い経験だったと思います。怖くて本屋さんに行けなくなった事も多少理解できます。もう一回だけチャレンジしてみませんか?店員さんは本を売るだけではないと思いますよ。A子ちゃんが「財布からお金取ってくれませんか?」「お金財布に入れてくれませんか?」と、お願いし手伝って貰ったら「ありがとうございます。」と、伝えられれば又、自分一人で本を買いに行くことできると思いますよ。本屋には図書カードもあるのでお釣りを床にばら撒く心配もありませんよ。」
翌週、送迎時にA子ちゃんのお母さんから「ありがとうございます!買い物できました!! A子は、ちゃんと店員さんに「手が不自由なので、お金財布からお願いします。」と言って買い物できました!!」と、嬉しそうに話されました。そして、「その時の店員さんが居て『買い物に来なくなって心配してたよ。あの時助けてあげられずに、ごめんなさい』と、言って頂けたんですよ。A子も嬉しかった様です。」と。
今回は買い物でしたが、人と関わり困りごとを伝えることで、手伝って貰い「ありがとう」 が言えれば、一人でなんでもかんでもやれなくても自立できる事例でした。