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会社・代表の思い
代表 2022.06.07

ナーシングの設立の原点と、私の揺るがない想い

ナーシングの設立の原点と、私の揺るがない想い

株式会社ナーシングは、世界的な感染拡大(パンデミック)により経済を中心に様々な混乱の真っ只中にある2020年5月12日に産声をあげました。

Nursing(ナーシング)とは、「看護」「療養」「保育」「養護」「養育」「介抱」を意味します。

   

そして5月12日は、私が尊敬する偉人の1人で、”近代看護教育の母””クリミアの天使”と言われるフローレンス・ナイチンゲールの誕生日。

心から尊敬しているナイチンゲールについて語ると止まらなくなってしまうのですが、ブログを読んでくださっている方へ簡単にご紹介させてください。

イギリス出身のナイチンゲールという女性は、クリミア戦争中の野戦病院の看護婦として従事した際、療養環境の酷さを目の当たりにして絶句します。

そして従来の衛生管理や看護の在り方に疑問を呈するものの、当時の看護婦は社会的に非常に身分が低かった上に、もともと貴族家庭の出身だったことから「お嬢様のお遊び」などと揶揄されて、ナイチンゲールの声は現場の医師らに聞き入れてもらえませんでした。

     

目の前に助けるべき人(負傷兵)がいる。そして、衛生的な水や食事の提供や、清潔な医療物品を用いた処置や療養環境の整備など、自身には今より良い結果に繋がる手段が見えている。なのに今の自分1人の力だけでは沢山の負傷兵の命や心身を助けることはできない。

逆風吹き荒れる環境の中でも諦めることなく、自らが率先して昼夜問わず行動し続け、医療衛生改革に邁進し、負傷兵の回復や、残された負傷兵の家族らのために骨身を削って看護活動に励み続けた結果、傷病兵の死亡率を40%→2%へと大幅に改善させることになります。

とても粗末で不衛生な野戦病院で、真っ暗な夜に蝋燭を持ちながら1人ひとりの兵士の顔をのぞき、異変の確認をしながら痛みと不安を抱える兵士に安心感を与える姿は「クリミアの天使」と呼ばれ、今でも看護師を「白衣の天使」と表現される語源になっています。 

   

ナイチンゲールはとても聡明な女性で、戦争後には死亡率や治癒状況等に関する膨大なデータを分析し、因果関係を明らかにしながら再現性のある根拠を作り、各種提言を繰り返しました。そして過労により臨床に立てずほぼ寝たきりになってしまってからも、看護教育の質向上に向けて命を使い尽くし、生涯を終えました。

     

深く感銘を受けるナイチンゲールの功績については語りきれないほどあるのですが、私がナイチンゲールに心から敬意を評しているのはテクニカルな技術といった「やり方」以上に、判断基準となる価値観や体現している信念などの「在り方」です。

社会課題を自分ごととして捉え、生まれた頃からの高い身分や優雅な生活に一切の固着もなく、信念を持って一生涯を「今の社会」と「世界中の未来」のために捧げたこと。勉強が優れている賢い研究者は多々いる中で、「下層階級の無教養な女性がする仕事」とみなされていた看護婦の仕事に31歳で自ら飛び込み、率先して「行動をし続けたこと」。そして、数多の逆境にも決して負けず信念を貫き行動したからこそ「目に見える結果を出したこと」。

周囲の理解を得られない環境の中で、自分の信念を貫き、改革のために行動し続けることが、どれだけ困難なことだったでしょうか。もしナイチンゲールが途中で心折れて行動を止めていたら、いま私たちが、この時代に安心安全な医療看護を享受することはできなかったことでしょう。

      

私たちが豊かに過ごせる社会を残してくれた偉人の1人であるナイチンゲールのように、実際に医療人として誇りを持ち働いてきたからこそ見えた医療看護福祉業界に感じる様々な課題(伸び代)をより良い状態に改革し、後世に繋げよう。

そんな創業の精神を忘れないように、5月12日を設立記念日にしました。

      

VUCAの時代を生き抜く中で、核となるもの

いまナーシンググループが行っている「障がい特性を抱えるお子様の、将来の自立を目指すための障害児通所支援事業」はもとより、今年度から開始する「障がい特性を抱える大人が、日常や活動を通じてADLやQOLを高め、快の刺激を感じながら社会参画意識を本人・ご家族が能動的に感じられる支援を目指した、生活介護事業・就労継続支援B型事業」も、来年度からのスタートに向けて準備を進めている教育事業も、全て私たちは信念を持って、自身に、他者に、地域社会に真摯に向き合って挑戦し続けたい。

    

地球温暖化に伴う気候の変化や自然災害の頻度・程度の変化、未曾有のパンデミック、そして政治経済の混乱、海外では戦争など、予定調和などと語れる未来の訪れが想像できない時代になりました。変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字を取って「VUCA(ブーカ)の時代」と表現されることもあります。

過去歩んできた道をそのまま延長すれば大まかにでも未来を予測できた頃とは、明らかに違う時代を生きています。意思決定をする有機物(動物)と無機物(AIロボット)が共生する社会が成立したのは、地球46億年の歴史で見ても初めてのこと。

     

これまた尊敬するイーロンマスクは、社会課題である地球温暖化の対策として必須な「脱炭素化」社会に向けて、まずは当時石炭が枯渇すると言われていた2052年を見据えてテスラに多額の出資を行い電気自動車を開発、そして自社の利益を守るのではなく”地球の未来のために”電気自動車の特許を解放しました。

さらに上記だけでなく、環境変化によって人類が今までのように地球上で生活できない未来がくることを考え、火星への人類移住計画に向けてロケット開発含めて、現在も本気で挑戦し続けています。

もともとはpaypalの創業者。極貧と成功・事業売却、また資金を投資・調達して挑戦、極貧、など乱高下が激しく、プライベートでは結婚と同時に(元)奥様へさまざまな注文を記した契約書にサインを強要するなど、非常にはっきりとした性格と強い決断力、意思を持つイーロンマスク。

電気自動車もロケットも最初の頃は嘲笑されたことでしょう。大きな事業を成す前に起こしていた事業も、売却時には足元を見られ悔しい思いをしながら、「確固たる信念」と「事業への自信」をもち交渉のテーブルについていたようです。

   

そんなイーロンマスクがCEOを務めるテスラは、創業20年も経たないうちに、日本最高値の時価総額を誇るトヨタ自動車を遥かに超える高額の時価総額になっています。

自分だけは信じ抜き、見据えていた未来があったことでしょう。

   

尊敬するイーロンマスクを思うと、ここのタイミングでナーシングを語るのは身の程違いも甚だしいほど規模は違いすぎるものの、私自身も大切な職員さん、利用者様やご家族、支えてくださっている地域があって、今を邁進できています。ただ、掲げる大義に対して”不安な気持ちは常にひとかけらも無い?”と問われることがあれば、正直今「勿論!」とは即答できません。

挑戦している最中、様々な大きな壁が立ちはだかるからこそ、苦しくなる時も不安になる時も、自分自身に悔しくなるときも多分にあります。

ただ、上記の感情を超えるほどの確固たる信念と、私たちが体現していることは社会にとって必ず価値になるという確信、そして使命感がある。

と同時に、私自身が挑戦の最中に感じるものがあるからこそ、成長のために今をもがく大人や子ども1人ひとりの気持ちが、刺さるほど本当によくわかります。そして、その葛藤や痛みが、それぞれの人生に深みを増し、未来を豊かにする大切な要素になることも確信しています。

   

未来のための今、と社内外でも繰り返してしますが、大前提、今を無視するつもりは毛頭なく、未来のために今を「犠牲」にしていいかといえば、それは全く違う。常に”今”とは、未来への「投資」だと捉えています。

と同時に、地に足がつかずに足元がフワフワ浮いたままで未来しか見えていない状態は、非常に危険です。

    

これからも挑戦し続ける限り、理想と現実のギャップゆえに、各個人も組織も様々な葛藤が起こることでしょう。

現在は社員さん15名ほど、非常勤の方を含めて20人ほどの小さな会社ですが、仲間がさらに増えてもっともっと大きな挑戦ができるようになるにつれて、今まで経験しなかった課題もたくさん出てくることでしょう。

    

大海原に出るときに、丸太とロープで作った粗末なイカダでは、すぐに転覆してしまう。

今のフェーズでは運転技術を学び実践し続け磨きながら、前進しながら海図を理解し、航路と目的地を全員で確認し、シンプルながらも波に飲まれない強い船を作りたい。

こうしてスピード感を持ちながら未来がどんどん切り拓けているのも、まだまだ生まれてから1年半のナーシングの事業所を信頼くださり共に作り上げてくださる利用者様・ご家族様、職員さんや応援してくださっているご家族、株主や金融機関様、地域の方をはじめとする沢山のステークホルダーの皆様のおかげです。

   

設立当初に会社に込めた想いを胸に、常に原点に立ち返ろう。迷った時にはMVVに立ち返ろう。負けそうな時には「何のために?」「誰のために?」を思い出して、顔をあげよう。

必ずや未来に、社員・顧客・株主をはじめとするステークホルダーの皆様、そして私たちを育ててくださる地域社会・業界に結果で恩返しをします!