COLUMN コラム

会社・代表の思い
代表 2020.11.06

悲しい事故で小さな命を失わないために

悲しい事故で小さな命を失わないために

およそ1か月前、東京都の私立幼稚園で、4歳の男児が給食で提供された大粒のブドウを喉に詰まらせ、先生方が対応するもブドウが吐き出せないまま意識不明となり病院へ搬送。その後、亡くなられたという非常に痛ましい事故が起こりました。

謹んで哀悼の意を表します。

ご家族様の悲痛な思いを考えると、正直なところブログで取り上げて書いて良いのかと躊躇う思いもあります。
しかし私達にとっても他人事ではなく、昨年は他県の放課後等デイサービスで、サービス利用中の中学生が食べ物による窒息で亡くなってしまう事故が発生しました。
大切なお子様をお預かりしている私達が、やはり向き合わない訳にはいきません。

児童発達支援・放課後等デイサービスで 大切なお子様をお預かりするに当たっての、弊社の方針の一側面を記したいと思います。

知っておく事で、私達が”救える命”がある。

内閣府より平成28年に発表されている「教育・保育施設における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」の中では、小児が窒息を起こす原因として

小児では、歯の発育、摂食機能の発達の程度、あわてて食べるなどの行動が 関連する。乳幼児では、臼歯(奥歯)がなく食べ物を噛んですりつぶすことが できないため窒息が起こりやすいが、食べる時に遊んだり泣いたりすることも 窒息の要因と指摘されている。また、保護者や職員の窒息危険性の認識、応急 処置の知識の有無、食事の介助方法なども事故に関わる要因と推測される。

と記載されています。
お子様をお預かりさせていただく私達は常にあらゆるリスクを想定しながら支援を行い、事故発生を未然に防いだり、何か発生した際には即座かつ的確に、チームで対応ができなくてはなりません。

お子様の安全確保、そしてスタッフの方が安心感や自信を持って 勤務・緊急時対応ができるように教育体制を整える事は、事業所の責任だと考えています。

今回の事故の対応が正しかったのかについては詳細が分からないため言及できませんし、すぐに異変に気付き対応をされたであろうにも関わらず大切なお子様の命が救えなかった先生方の辛さも計り知れません。

ただ、事実として、毎年全国でお子様の窒息による痛ましい事故が発生しています。
消費者庁が、厚生労働省「人口動態調査」の調査票情報を入手・分析したところ、平成22年から平成26年までの5年間で子供(14歳以下)の窒息死事故は623件あり、そのうち食品による窒息死事故は約7%に当たる103件。
食品が、子供の窒息死事故を引き起こす大きな原因の一つであると、明らかにされました。

安心してお子様をお任せいただくために

児童発達支援・放課後等デイサービス開所に当たり、ナーシングでは療育現場の安全配慮についてどう考え、どう対応していきたいのかを明文化します。

まず、現場のスタッフさんは、窒息を始め、起こりうると想定される事故・事象に対しての正確な知識が不可欠です
(現場に常駐の医師・看護師が居る場合を除いて、知識や経験が無いままでの勤務を強いられる事は、とてもご不安ではないかと思います)。

「窒息」は、今回のブドウのような小さな食べ物でも、そもそも食べ物に限らず玩具でも起こりうる程 とても身近にリスクが潜んでいます。
2歳以下のお子様であれば特に、いくらやピーナッツ程度の大きさでも窒息のリスクは十分ありますし、実際過去には痛ましい事故も報告されています。
そして窒息時の効果的な対応も、原則的に1歳未満と1歳以上では違います。

気道が完全閉塞すると、わずか数十秒で意識停止が起こります(子供の場合だと10〜15秒程度で)。そのまま呼吸ができない状況が続くと、低酸素血症か高炭酸ガス血症もしくはその両方の発生から数分以内に心停止が起こります。
特にお子様はまだ肺が発達している途中で、1回の呼吸で交換できる酸素や二酸化炭素の量が小さいため、数秒の呼吸停止時間の延長が予後に大きな影響を与えます。

そして窒息は、ほんの一瞬で起こります。
特に自閉症スペクトラムを抱えるお子様の場合、食べ物をよく噛まずに丸呑みしたり、口の中に詰め込む傾向にある方もお見えですし、大人が注意深く見守る事が必要です。

と、ここまでリスクばかりお話すると不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし人を直接支援させていただく私達は、お子様の未来を支援すると同時に、この瞬間の大切な命をお預かりしているという意識・責任感を手放してはいけません。
かと言って、リスクばかりに気を取られてお子様を制限するような療育もしたくない。

だから私達は、これらの知識を持った上で、命に関わるような事故の発生が無いように常に危機意識を持ちながら、環境整備やチームでの支援を行うと同時に、万が一の際にはスタッフの誰もが対応できるような体制が必要だと考えます。

<ナーシングでは下記を実施します>
・定期的なKYTカンフェレンスと、日頃の環境整備
・外部講師による定期的な救命研修、もしくは外部研修への参加
・AEDの設置と使用方法の研修
・事故発生時対応マニュアルの作成と、わかりやすい場所への掲示
・ご家族様との密な連携、情報共有

ただ繰り返しますが、常日頃の大事故発生の「予防」が一番。何もないのが一番。勿論言わずもがなで、そこを目指します。

コロナを含めて、冬にはインフルエンザやノロウイルスも毎年流行します。
正しく感染対策ができるように、こちらも研修を実施したいですね。

療育支援に関わる研修は勿論ですが、こういった安全確保に関わる研修も、必要に応じて都度実施しながら、お子様の安全をしっかりと確保し、スタッフさんも守っていけるような事業所を作っていきます。
また、児童発達支援・放課後等デイサービスのナーシングを選んで頂けるご家庭様が増えた際には、嚥下や発語に明るい言語聴覚士さん等にも是非joinして欲しいところです。

利用者様の安全確保は勿論の事ながら、

保護者様や利用者様にとって価値のある療育の提供、
業界のスタッフさんの労働環境の高水準化、
業界人のスキルに加えてマインドの向上を目指して・・・

まずは、ナーシング1号店から。
「医療介護福祉業界のNew Standard」を絶対に実現します。

ベストなチームで、”ベストな療育”を提供しよう!