COLUMN コラム

ナーシングで働く児発管・サビ管の思い
ナーシングサポート前後 2022.10.24

三嶋執筆:①生活介護&就労Bに感じる、現状と伸び代

三嶋執筆:①生活介護&就労Bに感じる、現状と伸び代

こんにちは!生活介護・就労継続支援B型事業所のサービス管理責任者 三島です。

ナーシングに入社する前、就労B型とグループホームの管理者をしていた僕からも、複数回に分けて、コラムを執筆させていただきます。

   

〇生活介護、就労B型においてナーシングが目指すもの

現在、身体障害、知的障害、精神障害の3区分における生活上の障害を抱えた方の人数は、内閣府の『令和4年度版 障害者白書 全文』によれば964万人を超えていると言われています。これは日本国民の7.6%以上の人数とされており、厚労省の調査によって把握されていない方等を考えると、実際の割合はもっと高いとも考えられます。

何らかの生活上の障害を抱えながら一般企業に勤めている方は、令和2年度6月時点で59.7万人以上いるとされています。と同時に、一般企業ではなく就労支援系の事業所や生活介護事業所等を利用されている方も多くお見えです。

 

少し古い資料にはなりますが、厚労省の「令和元年 社会福祉施設等調査の概況」によれば、全国の障害福祉サービス事業者数は令和元年度は76,547事業所と、前年に比べて全体的に数が増えており、生活介護と就労継続支援B型に限っていえば、それぞれ8,268事業所、12,497事業所と、前年と比べて、それぞれ600以上も増えています。 

現在では様々な障害福祉サービス事業所がそれぞれ独特の支援をしており、利用される方の様々なニーズに応えられる可能性が広がっていることは、障害福祉の分野全体にとって好ましいことです。他方で、障害という言葉を超えて、一人ひとりの様々な思いや夢が多様化・複雑化する中、本当の意味でその人に寄り添う支援が以前にも増して求められています。

  

障害福祉分野に勤めてまだ7年目の筆者ですが、少なからず色々な方に出会ってきました。受給者証には、障害の種別や区分の記載があるものの、障害の種別、名称、支援の程度の区分などはあくまでも支援を必要とする”その人を理解するための一つの情報”に過ぎません。 

その人にとっての適切な支援を行なうために、その人が抱える「生活上の障害・困難」も含んだ、より広い意味でのその人のことを知ることが、何よりも大切であると日々実感してきました。

また、不思議なことに、それぞれの事業所が提供するサービスの具体的内容以上に、利用される方についての理解が深い事業所は素晴らしい事業所になり、逆に事業所が全体として何かうまくいっていない際は、利用される方のことがあまり理解されていないということが往々にしてあります。

僕たちナーシングは、児童発達支援、放課後等デイサービスから障害福祉事業を始めました。

未来輝く成長期から一人ひとりの事を理解し、それぞれに必要な療育・支援を切れまなく提供してゆく社会をつくりたい。目指しているものは、障害の有無にかかわらず、誰もが自分の人生に、たとえささやかでもきらっと輝く何かを心に抱ける生涯。ある意味での生涯支援。

会社として果たすべき使命やビジョン、価値を掲げ、職員も日々それらを基準にして日々汗水を流しています。

  

生活介護、就労継続支援B型においても、その考えは変わりません。一人ひとりの希望の光が灯るような、これまでにない新しい福祉の社会を一緒につくりあげてゆきたい。そんな想いが、今回生活介護、就労継続支援B型を始めた理由の一つです。

このコラムでは、生活介護、就労継続支援B型を始め、ナーシングでの障害福祉サービスへの取り組みにおける理念や考え方、取り組みをご紹介して参ります。

  

〇生活介護、就労支援B型の課題

愛知県では、2020年4月1日時点で、人口約754万人に対して、身体障害者手帳所持者は約23.7万人、療育(愛護)手帳所持者は約5.7万人、精神障害者保健福祉手帳所持者は7.4万人とされています。さらに、手帳支給の対象となっていない発達障害や難病を抱える方を考慮すると、合計36.8万人以上の方が、生活する上での障害を抱えていると見込まれます。

これに対して、愛知県における障害福祉サービス事業所数は、障害福祉サービス事業所検索ネットのワムネットで検索すると9,797件がヒットしました。生活介護と就労支援B型の事業所も、たくさんあります。(※ここの文章・数字必要?)

就労継続支援B型をはじめとする就労系サービスでは、令和元年度の一般就労移行者数は21,919名でした。これは、約15年前と比較すると、なんと17倍以上にもなっており、今後もますます、一般就労への移行が重要視されるようになってきています。

  

障害福祉サービス(就労系)の制度設計上では、今後のステップアップとして【就労継続支援B型→就労継続支援A型→(就労移行支援→)一般就労(→就労定着支援)】のような流れが考えられますが、例えば令和元年度では、一般就労への移行者計21,919名の内、就労継続支援B型から移行した方が4,446名、A型からは4,185名と、【B型の方が、A型よりも多くの一般就労移行者を出した実績】があるように、実態と制度上のイメージとではズレがあります。

もちろん、それぞれのサービスの事業所数が異なるため(令和元年度でA型3,860事業所、B型12,497)、一般就労への移行割合で言えば、A型の方が優れていると言えますが、就労移行それ自体にとって、A型かB型かということはあまり関係がないことが分かります。

A型かB型かなど、サービスの種類そのものが支援諸々にとってあまり関係がないということは、給与、工賃のデータからも見て取れます。

 

愛知県の令和3年度の各B型事業所の平均工賃額をみると、事業所ごとにまちまちで、中には平均工賃がA型事業所よりも高いケースも見られます。

仕事、作業の内容自体、サービスの種類というよりも事業所ごとに異なっており、逆にあるA型事業所とB型事業所の仕事、作業内容が似通ったものであるケースもあります。

 

結局のところ大切なことは、その事業所が何を使命・ビジョン・価値として抱き、利用して頂く方々に向き合いつつ寄り添うか、ということです。そして、サービスを利用するひとり一人が未来に向けた目標を抱くことができ、その実現のために必要な人たちの繫がりをつくってゆくことです。

これは就労系の事業所に留まる話ではなく、更には福祉業界に留まる話しでもないと思います。医療でも、介護でも、教育でも、日々の生活でも、こうしたことを本気で考えている人は少なくないと思います。まだ実現できていない部分が多いからこそ、目指して行かないといけない。

  

次回コラムではナーシングサポート前後の使命・ビジョン・価値について述べたいと思います。

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